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ー外壁塗装の見積もり完全ガイド|内訳の読み方と相見積もりのコツー

打ち合わせをしている作業着の男性の写真

外壁塗装の見積もりはなぜ複雑?基本の考え方

外壁塗装の見積もりは「家の大きさ」と「塗料の質」だけでは決まりません。下地の傷み、必要な補修、付帯部の範囲、足場や養生などの共通費用、保証やアフター体制までを総合して金額が出ます。まずは内訳の意味を知り、価格ではなく“内容”で比較する姿勢が大切です。
見積もりの内訳は「材料費」「施工費」「共通仮設費」「諸経費」に大別されます。以下では小項目ごとに、初めての方でも押さえやすい判断軸を解説します。

面積(外壁・付帯部)

外壁面積は図面や実測で算出し、付帯部(雨樋・破風・鼻隠し・雨戸・軒天・笠木など)は長さ・枚数で見積もります。外壁は「㎡単価」、付帯部は「m単価・枚単価」で計上されるのが一般的です。数量の根拠(図面か実測か・控除の扱い)が明記されているか確認しましょう。

塗料グレードと耐用年数

ウレタン・シリコン・ラジカル・フッ素・無機など、樹脂グレードで耐候性と単価が変わります。高耐候の塗料は初期費用が上がりますが、塗り替え周期が伸びれば長期の総額は下がることも。製品名・期待耐用年数・艶・遮熱等の性能が明記されているかを確認しましょう。

下地処理と補修範囲

高圧洗浄、ケレン、ひび割れ補修、シーリングの打ち替え/打ち増し、錆止め、欠損部補修は仕上がりと寿命を左右します。特にシーリングは「m単価」「使用材」「施工方法」「撤去の有無」を要チェックです。

足場・養生などの共通費用

足場、飛散防止ネット、養生、現場管理費、交通費などは安全と品質のために必要です。足場は「m²単価」や「一式」で提示されますが、相見積もりでは同じ前提で比較しましょう。

相見積もりの取り方と比較表の見方

複数社からの見積もりは価格の妥当性だけでなく、診断精度・提案力・説明の分かりやすさの比較にも役立ちます。条件をそろえ、同じ範囲・同じ塗料グレードで横並び比較するのがコツです。

3社以上・現地調査ありで

電話や写真だけの概算ではなく、現地で劣化診断を受けたうえでの見積もりを依頼します。屋根の有無、外構との離隔、近隣状況(足場スペース)など現地でしか分からない要因が価格に影響します。

内訳と単価の比較ポイント

横比較表に入れる項目の例は次のとおりです。
・塗料:メーカー/製品名/グレード(期待耐用年数)
・工程:下塗り・中塗り・上塗りの回数、シーリング仕様
・数量:外壁㎡、付帯部m・枚数の根拠
・単価:㎡/m/枚単価、共通仮設費の算定方法
・保証:年数、対象範囲、無償点検の有無

塗装面積の算出方法の確認

「延床面積×係数」の概算と、図面・実測ベースの面積では結果が変わることがあります。開口部の控除や凹凸の計上ルールを合わせ、各社で同じ方法に統一しましょう。

保証・アフターの条件

工事保証(自社)と製品保証(メーカー)は別物です。保証書の発行有無、対象範囲、再施工条件、定期点検の頻度、施工写真の引き渡しの有無まで確認しましょう。

見積書でチェックすべきNGサイン

見積書の書き方には会社の姿勢が表れます。金額だけで判断すると、追加費用や品質トラブルにつながることも。次に該当する場合は理由を確認し、曖昧なまま契約しないようにしましょう。

一式表記が多い

「外壁塗装工事 一式」など数量・単価が伏せられていると比較が困難です。最低でも「数量」「単価」「材料名」「工程」が分かる明細を求めましょう。

塗布量・工程が曖昧

塗装は規定の塗布量で性能が出ます。見積書や仕様書に「塗布量」「塗り回数」「乾燥時間の目安」がない場合は、施工管理も曖昧になりがちです。

相場から極端に安い/高い

極端に安い場合は工程の省略や薄塗り、下地処理不足の懸念。高すぎる場合は過剰なオプションや不必要な高グレード提案の可能性。理由を確認し、納得できなければ見直しを依頼しましょう。

会社情報や資格が不明

所在地、許認可、保険加入、保有資格(建設業許可・塗装技能士等)、連絡体制が不明瞭なら注意が必要です。施工中の事故や瑕疵対応に不安が残ります。

費用相場の目安と予算づくり

相場は地域や建物条件で変動しますが、考え方の軸を持つと過不足のない予算組みができます。代表的な戸建てケースを参考に、金額の捉え方を整理しましょう。

戸建て30坪の標準ケース

外壁塗装(シリコン系)で外壁面積130〜160㎡なら、工事全体の目安は120〜170万円前後が一つの参考です。下地補修の量、付帯部の多さ、屋根との同時施工で増減します。見積書の面積と単価の根拠を必ず確認しましょう。

付帯部・オプション費用

雨樋・破風・雨戸・軒天・ベランダ防水・雨漏り補修・カラーシミュレーションなど、付帯やオプションは総額に大きく影響します。必要性と優先度を整理し、相見積もりでも同条件で比較しましょう。

見積もり依頼の準備チェックリスト

準備が整うほど各社の提案が揃い、比較が容易になります。依頼前に次の項目を用意しておくと、やり取りがスムーズです。

物件情報と希望条件

・築年数、構造(木造・鉄骨など)、階数、外壁材(サイディング・モルタル等)
・過去の塗装履歴、気になる劣化(色あせ、チョーキング、ひび割れ、苔)
・希望色、艶、遮熱や低汚染などの要望、予算上限
・希望時期(足場設置の可否、近隣イベント)

現地調査で伝えること

・高圧洗浄の水回り動線、近隣配慮が必要な時間帯
・ベランダや玄関周りの荷物移動の可否
・シーリングの劣化部位や過去の補修履歴
・写真撮影と施工写真の提供依頼

質問テンプレート

・外壁面積の算出方法と根拠を教えてください。
・塗料の製品名・期待耐用年数・塗布量は?
・下地処理とシーリングは打ち替え/打ち増しのどちらですか。使用材は?
・足場・養生・管理費の算定方法は?
・工事保証の内容と年数、無償点検の頻度は?
・追加費用が発生するのはどのケースですか?

まとめ:価格より“内容”で比較し、納得のいく契約を

見積書は工事の品質と安心を担保する設計図です。数量の根拠、塗料の明記、下地処理、工程、保証、施工写真の引き渡し――これらが揃っている見積書は、最安でなくとも満足度が高く、長期コストも抑えられます。条件を揃え、疑問はその場で質問し、書面に残す。これが失敗しない外壁塗装の近道です。