ー外壁塗装の種類を徹底比較｜樹脂グレード・機能性・仕上げの選び方ー

 

外壁塗装の「種類」は何を指す？まずは全体像

外壁塗装の種類は大きく「樹脂グレード（塗料のベース）」「機能性（遮熱・低汚染など）」「仕上げ・工法（艶・質感・回数）」の三層で考えると整理しやすいです。まずは樹脂グレードで耐久の軸を決め、次に必要な機能を足し、最後に見た目とコストのバランスで仕上げを選ぶと失敗が少なくなります。

代表的な樹脂グレード

アクリル／ウレタン／シリコン／ラジカル制御型／フッ素／無機が代表格です。一般的にはアクリル→ウレタン→シリコン→ラジカル→フッ素→無機の順に耐候性が上がり、価格も上がります。築年数や今後の住まい方（いつまで住むか）に合わせて選びましょう。

機能性オプション

遮熱（温度上昇を抑える）、低汚染（雨で汚れを流す）、防カビ・防藻、弾性（ひび割れ追従）、超低臭水性などがあります。全てを盛るほど価格は上がるため、優先順位を決めて選定するのがコツです。

樹脂グレード別の特徴と向いているケース

同じ色でもベース樹脂で性能が大きく変わります。ここでは初心者でも比べやすいよう、メリット・注意点・向く住まいを端的にまとめます。

アクリル

価格は安く発色も良好ですが、紫外線に弱く色あせが早めです。仮住まい・短期運用・一時的な美観回復に向きます。長持ちを重視する場合は他グレードを検討しましょう。

ウレタン

密着性が高く付帯部（雨樋・鉄部）に多用されます。外壁全体では耐候性がやや控えめ。低予算で要所だけ仕上げたいケースに。

シリコン

コストと耐久のバランスが良く、戸建てで最も選ばれやすいグレード。はじめての塗り替えで迷ったら比較基準にしやすい種類です。

ラジカル制御型

チョーキングの原因となるラジカル（劣化因子）の発生を抑える設計。シリコン同等〜やや上の耐久を狙え、価格も比較的手頃。近年の人気株です。

フッ素

耐候・低汚染性が高く、海風や強い日差しの地域、メンテ周期を伸ばしたい方に適します。初期費用は上がるため、長期居住前提で投資対効果を見ましょう。

無機

セラミック等の無機成分を多く含み、最高クラスの耐候性を狙うグレード。硬さゆえに下地の動きには配慮が必要で、信頼できる施工管理が前提です。

機能性塗料の種類と選び方

グレードを決めたら、暮らしの課題に合わせて機能を選びます。万能は存在しないので、住環境の悩みから逆算するのが近道です。

遮熱・断熱

屋根・外壁の表面温度上昇を抑え、夏場の室温上昇を緩和します。直射日光が強い方角や最上階・小屋裏が暑い住まいに有効。効果は色や下地状況にも左右される点は理解しておきましょう。

低汚染・超低汚染

表面に汚れが付きにくく、雨で流れやすい性質。幹線道路沿い・工場地帯・北面の黒ずみが気になる住まいに。艶ありの方が汚れは落ちやすい傾向です。

弾性・微弾性

細かなひび割れに追従しやすく、モルタル外壁に相性良好。大きな構造クラックには補修併用が必須で、過度な厚膜はふくれの原因になるため設計が重要です。

仕上げ・工法の種類（見た目と触り心地）

同じ塗料でも仕上げで印象は一変します。色だけでなく、艶・質感・塗り回数をセットでイメージしましょう。

艶あり／三分艶／艶消し

艶ありは汚れが落ちやすく発色が鮮やか、艶消しは落ち着いた高級感があります。汚れが気になる立地なら艶あり〜半艶、意匠性重視なら艶消しも選択肢です。

吹き付け・ローラー・多彩仕上げ

吹き付けは意匠性とスピード、ローラーは飛散が少なく均一な仕上がり。多彩仕上げは石材調などの奥行き感を演出できます。周囲への飛散配慮や工期・コストも合わせて決めましょう。

二回塗り／三回塗り

基本は下塗り・中塗り・上塗りの三回塗り。二回塗りの提案は下塗り省略の可能性があり要注意。仕様書に「回数と塗布量」が明記されているか確認します。

下地と相性で見る“種類”の選定

外壁材ごとに相性の良いシステム（下塗り材＋上塗り材の組み合わせ）があり、種類選びはここを外すと長持ちしません。迷ったら下地優先で。

窯業系サイディング

ラジカル制御型やシリコン以上が無難。シーリングの打ち替えを前提に、早期の色あせ対策として低汚染機能も有効です。

モルタル

微弾性下塗り＋弾性〜微弾性上塗りでクラック追従性を確保。厚膜設計と換気・乾燥管理が品質を左右します。

金属サイディング

付着性重視で下塗り選定が肝心。海風や結露環境ではフッ素・無機＋低汚染の組み合わせが有効です。

よくある比較と誤解の整理

種類が多いほど迷いやすく、ネット情報も玉石混交です。最後に、意思決定のための比較軸をシンプルにまとめます。

シリコンとラジカルはどっち？

価格差が小さいならラジカル制御型を検討。チョーキング抑制とバランスの良さが魅力で、はじめての塗り替えに向いています。

フッ素／無機はオーバースペック？

長期居住・厳しい立地・再塗装間隔を最大化したい場合は投資価値あり。売却予定や短期居住ならシリコン〜ラジカルで十分なケースが多いです。

水性と溶剤どちらが良い？

室内臭や環境配慮なら水性が有利。付着性や条件により溶剤が適する場面もあるため、下地と環境で選び分けます。

失敗しない“種類の決め方”フロー

最終的な選定は、1)住まいの課題（汚れ・暑さ・ひび）を言語化 → 2)下地と相性の良い下塗りを決定 → 3)樹脂グレードを選択 → 4)必要な機能を追加 → 5)艶と質感を決める、の順番で。相見積もりではこの条件を揃えて比較しましょう。

チェックリスト

・下地と既存塗膜の相性は？付着試験の可否
・上塗りの樹脂グレード、製品名、期待耐用年数
・三回塗りと塗布量の明記、乾燥時間の目安
・機能性の優先順位（遮熱／低汚染／弾性）
・保証内容と施工写真の引き渡し

まとめ：種類は“組み合わせ”で最適化する

外壁塗装の種類は、単一の名称では語り切れません。樹脂グレード×機能×仕上げ×下地の組み合わせで、耐久・美観・コストの最適点は変わります。住まいの課題から逆算し、同条件で相見積もりを取り、仕様書に数値と根拠を残す。これが、満足度の高い塗り替えを実現するいちばんの近道です。